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#essay 和語のすゝめ

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これは1年以上前の記事です

ここに書かれている情報、見解は現在のものとは異なっている場合があります。

これは前に読んだ本からの受け売りなのだが、かつて西洋から様々な概念が輸入されてきた時、それをどう翻訳するかについて議論があったそうだ。 当時は漢文がカッコよかった時代だったので、最終的に新たな漢語を作ることになった。 そうして「社会(society)」「奉仕(service)」などの言葉が広まった。

このように漢語を使って新しい概念を表すことによって、短く、かつなんとなく意味がわかるようになった。 しかし、いろんなものを短い漢語で表したために、同音異義語が大量に生まれるようになった。 さらに、一つの言葉が複数の意味を持ち、意味を取り違えることも多かった。

ここで自分は和語を使うことを提案したい。 たとえば「service」を和語を使って表すと「つつしんでつかえる」となる。 「社会への奉仕」が「社会へつつしんでつかえること」となる。 どうだろう。 長くなって他の言葉と区別がつきやすくなったし、意味もひとつに定まったのではないだろうか。 まあ実際に全部和語にして文章を書くと長すぎてキツいかもしれないが、意味を間違えられたくない場所で使ってみると便利だろう。

実際に使わなくても、和語は言葉の意味を理解するのに役に立つ。 たとえば「社会」という言葉を和語に変換してみる。 手元の辞書で「社会」をひくといくつかの意味があるが、ここでは

同じ傾向・性質、あるいは目的をもつ人々のまとまり。

を使い、さらに人々は特に目的を共にしているものとする。 「目的」は音読みなのでさらに辞書を引く。

実現しよう、到達しようとしてめざす事柄。めあて。

とある。 ここまで調べたものを組み合わせると、この場面での「社会」は「同じ目当てをもつ人々のまとまり」となる。 このように漢語を和語に変換する時には再帰的に意味を調べて行くことになるので、言葉に対する理解が深まる。

ネット上ではいろいろな人がいるため、誤解を生みやすい。 和語は漢語よりは一つの言葉で伝わるニュアンスが多い。 実際の紙を使っていた時代ならともかく今ならいくらでも書くスペースがあるので、誤解を生まないために長い和語を使うというのも良いかもしれない。 いつものようになんとなく漢語を使うのをやめて、和語を使って自分の言おうとしていることの意味を噛みしめてみてはどうだろうか。