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#essay 読書記録:ブランドの暗殺、悪意あるデマ

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これは1年以上前の記事です

ここに書かれている情報、見解は現在のものとは異なっている場合があります。

今自分は「勝手に選別される世界」(原題:The Reputation Economy)という本を読んでいる。 最近起きたことと内容が通じるものがあって色々考えたので、まだ途中だが本の内容を紹介したい。 最近体調が悪く頭が働いていないので適当なことを書いているかもしれない。

今まで読んできた部分を要約すると、

「情報技術の発展により、特定の人物のあらゆる行動を考慮した"reputation"(評判)を瞬時に作成し、それを必要な人が今よりはるかに簡単にみることができるようになる。 すると初めて来た店でも"評判"が良ければ特別なサービスを受けられるようになるかもしれないし、今よりいい仕事のオファーが来るかもしれない。 一方で、“評判"が悪くなってしまうと何処からも期待されず、もっとお得なサービスがあったことを知ることすらできなくなるかもしれない。 だから市民、あなたは表向き完璧でなければなりません。」

といった感じだ。 そして今読んでいるところで、「ブランドの暗殺」について書かれている。 本では乗っていない画像を含めてまとめてメモしておく。

2012年、石油エネルギー企業shellがとんでもない広告を出した。

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凍った荒地に見える人もいるかもしれないが、我々は可能性の海と見る。Let’s go.

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カタストロフィだと言う人もいるが、我々は可能性と呼ぶ。Let’s go.

明らかに悪趣味で、わざとやってるのかと思うくらい映画とかに出て来る悪い企業のセリフだ。 実際これはわざとやっていることだ。この広告はshellが出したものではない。 環境保護団体グリーンピースが作った偽の広告である。 ArcticReady.comというドメインで豪華なウェブサイトを作り、拡散したのだ。 しかしソーシャルメディアはこれをshellの本物のキャンペーンだと勘違いした人の批判であふれかえり、炎上した。 “思いやりに欠け、世の中の空気が読めず、ソーシャルメディアの扱いがヘタな大企業"というシナリオができあがった。 このキャンペーンが大規模なもので、この広告のために莫大な金額を投資したように見えたこともさらに怒りをかきたてた。 広告は偽物だったが、結果的にshellの評判は大きく傷ついた。 さらにshellがこのキャンペーンについて書いたブログを削除するよう法的措置に出たことで、さらに印象は悪くなってしまった。 この出来事は未だに爪痕を残し、Googleで"shell arctic"などと調べると今でもこの出来事についての情報が上位に出てくる。

不正確な情報は強力に"評判"を損なわせることができる。 誰でもネット上では他人になりすまして悪評を流すことができる。 ここまでが本に書かれていたことである。

グリーンピースを倒してもこの問題は解決しない。 他人の評判を悪くしようとする悪意を持った人や団体はいくらでもいる。 そしてそのなりすましを見抜くことのできない人がネット上ではたくさんいる。 このようなブランドに対する攻撃を個人が防ぐことはとても難しい。 どうしたらいいか考えてみたが、根気よく説明を続けるしか対処法はないと思う。 しかし一度悪い印象を持った人の説明をちゃんと見る人は限られている。 一部の人はどれだけ頑張っても誤解したままとなる。 悪意ある情報は絶対になくならないので、情報を受け取る側のリテラシーが重要である。 衝撃的な内容の記事が流れて来たら、それがデマや誤解ではないか疑う心構えが必要だ。 また、デマをきちんと見抜いて拡散しない情報源を選ぶことも方法のひとつである。 情報を受け取ったら、できる限り好意的な解釈をするというのもいいだろう。 誤解で他人の評判を落とすようなことは絶対にあってはならないのだ。