今年の夏休みはいろいろな本を読んだ。 最近の目標は多読なので、わりとその目標を達成できている気がする。
しかし自分は記憶力がないので、読んだ内容をはっきりとは思い出せない。 あの本にはだいたいこんなことが書いてあった気がする、 と必要なときに本を出してこれればそれで十分だと考えているので、 別に一字一句正確に思い出せる必要はない。 しかし内容のおおまかな把握ができているかを確認しておくことは最低限必要だと思ったので、 この場でその確認作業を行ってみるのだ。
また、知識を身につけるためにはインプットとアウトプットのバランスが必要だといつも言っているのに、 本については直接のアウトプットがないということに気づいたのもこの記事を書こうと思ったきっかけだ。
本とプライバシー
今までも読んだ本について文章を書こうと考えなかったわけではない。 しかしそれを行動に映すことはなかった。 なぜかというと、本はかなりプライベートな領域だと考えているからだ。
読書履歴の保護については、日本図書館協会の「 図書館の自由に関する宣言 」でも言及されている。
第3 図書館は利用者の秘密を守る
- 読者が何を読むかはその人のプライバシーに属することであり、図書館は、利用者の読書事実を外部に漏らさない。ただし、憲法第35条にもとづく令状を確認した場合は例外とする。
- 図書館は、読書記録以外の図書館の利用事実に関しても、利用者のプライバシーを侵さない。
- 利用者の読書事実、利用事実は、図書館が業務上知り得た秘密であって、図書館活動に従事するすべての人びとは、この秘密を守らなければならない。
まあこれは戦前の思想統制に絡んで作られた条項だろうし、 あくまで図書館側の決めごとなので自分で公開するぶんにはなんの問題もない。 しかし、本からはその読者の人となりがわかるというのは確かである。 どんな本が目にとまるのか、どんな知識を身に着けたのか。 読んだ本を知るだけで様々なことが類推できてしまう。
読書記録のメリット
そう考えていた自分がこうして記事を書いているということは、気が変わったということだ。 読書記録をとり、簡単にアクセスできるようにするのには、 他人に自分の心のうちをさらけ出す行為に見合ったメリットがあると思ったのだ。
さきほど自分はこんな本があったな、と思い出せる程度にみにつけるという話をした。 自分はこれを「インデックスを作る」と呼んでいる。 しかし気に入った文章は覚えておきたいし、本を引っ張り出してこなくても引用できるようにしたいものだ。 そのため、ここ最近Twitterで読んでいる本の内容を引用したツイートをすることが増えている。 既に読書記録は公開されてしまっているのだ。
Twitterの検索性はあまり良くない。 自分はプログラミングの時、よくこのサイト内のテック系の記事をGoogleで検索する。 わざわざTwitterで検索できない読書記録を公開するくらいなら、 それもここでしっかり書いてしまったほうが自分の役に立つのではないか。
というわけでまずは8月と9月の長期休暇中に読んだ本の履歴を参照して、 内容を思い出せるものは簡単な要約をしてみる。 たぶん今後もこういう読書記録的な記事を書くだろう。 専用のタグを考えるべきだろうか。
Real world Haskell : 実戦で学ぶ関数型言語プログラミング
Haskellの厚い本。 実戦だからといって説明が省略してあるわけではなく、むしろ丁寧に基礎からHaskellを学べる本。
行列プログラマー : Pythonプログラムで学ぶ線形代数
エラー訂正符号までは自分で書いてみた。 数学を使うといままで絶対にできなさそうだったことが魔法のようにできるようになるのですごい。
社会学にできること
対談をそのまま記録したような本。 音声でくれ。
ものがたり宗教史
有名な各宗教の中にある物語を簡単に紹介してくれる。
働きたくないイタチと言葉がわかるロボット : 人工知能から考える「人と言葉」
割と有名な本じゃないだろうか。 人工知能に関しては一時期たくさん調べたので、 あんまり目新しい情報がなくて途中で読むのをやめてしまった。
当事者研究の研究
一般的な意味での研究をしている当事者の話かと思ったらセラピー感が強くてびっくりした。
地雷処理という仕事 : カンボジアの村の復興記
現地の住民と協力しつつ地雷処理をしている筆者の記録。
波乗り入門
写真がめっちゃ多い。
野生動物への2つの視点 : “虫の目"と"鳥の目”
シカなどの動物を長期に渡って観察する研究と、俯瞰して生態系について考える研究のことを書いた本。
「予測」で読解に強くなる!
人は文章を読むときに、次は先の文について詳しく書いた文が来るだろう、などと先の展開を予測している。 それを言語化した本。
省メモリプログラミング : メモリ制限のあるシステムのためのソフトウェアパターン集
タイトル通りの本。 よく考えてみれば当たり前のことだが、そんなに斬新なことは書かれていない。 まあそうだろうな、ということが大量にまとめてある。
はじめての日本神話 : 『古事記』を読みとく
古事記のあらすじのようなものが簡単に書いてあって自分みたいな初心者にも優しい本だった。
落語の聴き方楽しみ方
"いまは落語史上にはじめて到来した「古典落語」の時代です。現代の落語家は、「古典」と呼ばれるようになった落語を演じながら、しかし、約束事としてはそれを「現在」の時間として観客に実感させる必要があります。現代を生きる落語家の苦労はたいていではありません。"
— Kotet (@kotetttt) August 18, 2018
辞書から見た日本語の歴史
タイトル通り辞書の歴史について書いた本。 現代の辞書の形式が唯一の正解だとは限らないという話をしている。
海を越える日本文学
海外で読まれる日本文学についての本。 海外と言っても国によって売れる本は大きく異なるし、 売れた国によってそのニュースを聞いた日本人の反応も違う。
ちゃんと話すための敬語の本
現代の敬語の教え方に問題があるために、敬語の持つ意味に歪みが生じているという話。
高速文字列解析の世界 : データ圧縮・全文検索・テキストマイニング
完備辞書について調べてたら参考文献に載っていたので読んだ。
Nature of code : Processingではじめる自然現象のシミュレーション
ジェネレーティブアートに興味があったので読んだ。
遠野物語へようこそ
遠野物語は怪談や神話などと呼ばれているものがごっちゃになってナマで載っている物語集。 日本最古の民俗学だとか書いてあったような気がする。
友達がいないということ
ものすごくとりとめのないかんじで面白い。 自分はこういう状態だから「友達がいない人」ということで許してほしい、みたいなことを度々書いている。 友達がいない人も「友達がいない人」というコミュニティの中に属しており、 仲間意識を感じずにはいられないし、 そうなったら逆にそのコミュニティから抜けないように努力すらしてしまうのだ。
生態系は誰のため?
「生態系の保護」というが盲目的に自然のままにしておくのは違うよねという話や、 多様性というスカラー値だけを見てると適切な行動ができないよねという話をしている。
翻訳ってなんだろう? : あの名作を訳してみる
この本を読むには英語力が足りない……。
脳のなかの幽霊
たぶん自分は脳科学の話が好きなんだろう。 めっちゃ面白いし今までこういう視点を持ったことがない人も多そうなので沢山の人に読んでほしい。
リベラルアーツの学び方
おもしろそうな本や映画がたくさん紹介されている。
フリーランスで生きるということ
いろんな種類のフリーランスの話が載っている。
BIND 9によるDNSサーバ構築 : 設定から運用管理まで
kotet.jp
ドメインを取ったときに読んだ。
このあたりの知識は今でも自信がない。
雑草はなぜそこに生えているのか : 弱さからの戦略
雑草と呼ばれているような植物がなぜ、どのようにして他の場所ではなくそこに生えるのかという話。
作家の収支
"皆さん、そんなに贅沢をしていない。自分が好きなものを知っている人は、その好きなものに金をつぎ込むだけで、一般的な贅沢をする必要がないからだ。"https://t.co/f2wK1DNIyK
— Kotet (@kotetttt) September 26, 2018
森博嗣が作家としての支出と収入源を淡々と書いていく本。 下で揃えたレイアウトの目次がかっこいい。